大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 平成7年(わ)1422号 判決 1996年3月05日

本店の所在地

千葉県習志野市藤崎四丁目一〇番一〇号

株式会社フジケン

右代表者代表取締役

尾﨑亘

本籍

長崎県北松浦郡福島町土谷免八四番地

住居

千葉県習志野市鷺沼三丁目四番二四号

職業

会社役員 尾﨑亘

昭和三年五月三〇日生

主文

被告人株式会社フジケンを罰金二七〇〇万円に、被告人尾﨑亘を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人尾﨑亘に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社フジケン(以下「被告人会社」という。)は、肩書地に本店(平成二年一月二日から平成七年一月一七日までは千葉県習志野市本大久保一丁目四番二八号)を置き、一般土木建築請負及び施工等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成三年六月一一日以前は三〇〇万円)の株式会社であり、被告人尾﨑亘は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人尾﨑亘は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注工事費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年八月一日から平成三年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が九五八七万八八九三円であったのにかかわらず、同年九月三〇日、千葉市花見川区武石町一丁目五二〇番地(平成四年四月一日の行政区画設置による住居表示変更までは千葉市武石町一丁目五二〇番地)所在の千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五二〇七万九二七八円で、これに対する法人税額が一八六四万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三五〇六万七二〇〇円と右申告税額との差額一六四二万四六〇〇円を免れ、

第二  平成三年八月一日から平成四年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億七〇六六万七九三七円であったのにかかわらず、同年九月三〇日、前記千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六〇二万一一三五円で、これに対する法人税額が一二五六万一一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六三〇五万三四〇〇円と右申告税額との差額五〇四九万二三〇〇円を免れ、

第三  平成四年八月一日から平成五年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億八九八万三九二〇円であったのにかかわらず、同年九月二九日、前記千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二一四万一〇九三円で、これに対する法人税額が一〇八七万五一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三九六九万九〇〇円と右申告税額との差額二八八一万五八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

括弧内の番号は検察官の請求番号を示す。

一  被告人兼被告人会社代表者尾﨑亘の公判供述

一  被告人尾﨑亘の検察官調書(乙一ないし三)

一  登記簿謄本(乙五ないし七)

一  吉田春實(甲六)、平田實(甲七)、今野武通(甲八)、稲葉利男(甲九)、青木政美(甲一〇)、金子徳幸(甲一一)、尾﨑千恵子(甲一二)、の各検察官調書

一  告発書(甲一)

一  脱税額計算書(甲二ないし四)

一  脱税額計算書説明資料(損益)(甲五)

一  捜査報告書(甲一三、一四)

(法令の適用)

1  罰条

(一)  被告人会社 法人税法一六四条一項(一五九条一項)、情状により一五九条二項(判示各所為につき)

(二)  被告人尾﨑亘 同法一五九条一項(判示各所為につき)

2  刑種の選択 懲役刑選択(被告人尾﨑亘の判示各罪につき)

3  併合罪の処理

(一)  被告人会社 平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により、同法による改正前の刑法四五条前段、四八条二項により各罪に定めた罰金額を合算

(二)  被告人尾﨑亘 平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により、同法による改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重

4  刑の執行猶予(被告人尾﨑亘)

平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により、同法による改正前の刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(検察官伊藤薫、私選弁護人桜井勇、同井上隆行各出席)

(求刑 被告人会社に対し罰金三〇〇〇万円、被告人尾崎亘に対し懲役一年)

(裁判官 小原春夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例